はじめに
ダイダン北陸支店は、建物老朽化に伴うレジリエンス対応として、建替え工事を行い、2022年5月に完成しました。
新社屋は、「伝統」と「革新」の融合をテーマに、まちなみに調和しつつ環境配慮と働きやすさの両立を目指した次世代オフィスビルとして建設しました。
金沢市の取り組みへの参加
建設地である金沢市では金沢 SDGs として、5つの方向性 金沢ミライシナリオを定めています。金沢市の取り組みに賛同し、建替えプロジェクトを通じた様々な取り組みにより持続可能な社会の実現に貢献していきます。
認証・賞
本プロジェクトでは、⾰新的な技術を取り⼊れながら建築設備工事の効率化やDX*活⽤、環境性能の向上に向けた様々な取組を⾏っています。
また、IoTやICT技術を駆使した技術を導⼊し、建築設備業の持続的な発展のための取組を⾏います。
これら取組が評価され、省エネルギー性能(BELS)と建築環境総合性能(CASBEE)ともに最高ランクを取得しました。
- * DX:Digital Transformationの略。ITの浸透が⼈々の⽣活をより良い⽅向に変化させるという概念
- * CASBEE 新築 B+ 以上を取得した上で、CASBEE ウェルネスオフィスを取得した場合に与えられる認証。本建物では、両認証ともに S ランクを取得しています。
BELS 5☆
CASBEE* スマートウェルネスオフィス S ランク
i‐Construction
⼤賞優秀賞
ダイダン北陸支店建替えプロジェクト
BIMを用いたウォークスルー
ダイダン北陸支店建替えプロジェクト
3つのこだわり
01 まちなみに配慮した建築意匠
木の文化都市である金沢市において、建替え地は百万石通りに面した伝統的な建物が立ち並ぶ地域となっています。新社屋は、CLT*をはじめとした木材建材や一文字瓦の活用、周囲になじむ色調を意識した外観デザインとしています。
- * CLT = Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略。ひき板を並べた層をクロスに重なるように板を貼り合わせた、木の塊のような分厚い素材のこと。
- 1:木構造の架構 2:左官(櫛引) 3:一部境界塀に一文字瓦を採用
- 4:木調ルーバによる目隠し 5:周囲になじむ色調を選定
「眩しさを抑えつつ、効果的に照らす。」
障子から透けるろうそくや電球のような"昔ながらのあかり"をロールスクリーンとLED照明で表現、まちなみに調和する温かみのある照明計画としています。
また、夜間と深夜で照明によるファザードデザインが変化、景観への配慮だけでなく、地域を照らす役割も担います。
02 自然と調和した働きやすい環境づくり
昔ながらの日本家屋にならい、自然風・自然光を活用しつつ外からの熱を抑える建物構造としています。ワークスペースは、働く場所の選択が可能なABW*1を取り入れ、多様性に配慮したオフィスレイアウトとしています。また、バイオフィリックデザイン*2がもたらす、集中力の向上やリラックス効果により、働く人の知的生産性向上やストレス軽減に繋がる環境づくりを行います。
- *1 ABW:Activity Based Workingの略。場所や時間を自由に選択できる働き方
- *2 バイオフィリックデザイン:人間は本能的に自然とのつながりを求めるという考え方を採り入れたデザイン。従業員の知的生産性向上に寄与するとされる
照明は、自然光と連動した照明制御システムを採用するとともに、個人の好みで明るさを調整できるタスク照明をデスクに設置します。換気は、withコロナに対応した換気効率の良い、床染み出し空調システムを採用し、働く人の健康に配慮します。また、暑さ・寒さは個人で感じ方が異なるため、イス型タスク空調「クリマチェア」を導入し、誰もが健康で心地よく働けるオフィスづくりを目指します。
03 持続可能な社会の実現に向けた取り組み
建物のライフサイクルにおいて、建設後の運用段階 における消費 エネルギーの削減 、建物の中で働く人の健康が維持される環境をつくることは持続可能な社会形成に貢献します。 本プロジェクトでは、ダイダン独自のクラウド型自動制御システム「リモビス®」を導入し、建物のエネルギー消費を抑えつつ、快適性も損なわない建物設備 照明、空調の制御を行います。
例えば…
・「クリマチェア®」の送風・暖房の利用者数に応じた部屋の空調温度の調節
・自然光を導入した際のコントラストによる不快感を生まない照明の調節
- ※ 「リモビス®」の詳細についてはこちら→ https://www.daidan.co.jp/removis/
災害が多い日本において、BCP*1対応は重要な要素の一つです。新社屋は太陽光発電と蓄電池設備を導入するだけでなく、非常時に電気自動車から電気を送る仕組みや、発電機能を持つガスヒートポンプエアコンにより、レジリエンス*2を考慮した建物としています
- *1 BCP:Business continuity planning(事業継続計画)の略。自然災害等の緊急事態時に事業を復旧・継続させるための計画のこと
- *2 レジリエンス:自然災害等の想定外の事態にも速やかに柔軟に対応できる強靭さ・回復力のこと